夜、職場の同期のH氏と散歩しながら。
「Yさん(職場の後輩)が『最近、自分に狂気がなくなってきた』って嘆いていたなあ」
「そりゃ、そうでしょ。私もその気持ちを分かるような気はする」
 と私。
「この頃、覇気がないというか、創造力がなくなるというか…。10代とか20代前半のときのような、心身を投げこむような無茶なまねができなくなってきているし」
「ほう」
「以前なら、例えば、受験だの就職だのにちっとも結びつかない、無駄なこととか空想とかに、思考力を費やしてもかなり集中できたけれどね」
「ははは」
「ところが、最近は、社会人になったからか、学生の時のように、勝手なまねはできないし、しなくなったよなあ。無意識のうちにセーブしているような気がする。そのせいかわからないけれど、自分に面白味が薄れてきているような気もする」
「俺はそう感じないけれど。まあ、Mさん(私のこと)みたいに修羅場はくぐっていませんから」
「『修羅場』って、大げさな…(自分なりに波乱万丈はありますが)。Hさんが以前勤めていたところの環境の方が、大変な修羅場だったでしょう。Hさんの場合、理性がかなり強いから、自分を抑える力も強いのではないかな」
「そうかなあ」
「そうですよ。少なくとも、私の中学時代のように、怒りのあまり、女の子に蹴りを入れる真似はしないだろうし」
「そりゃ、むちゃだ。ひどい」
「でしょ。その時の行きがかりを振り返ると、もともと相手から仕掛けられたものだし、私にも言い分はあったけれど、怒りをああいう風に表してしまっては、こちらの言い分を聞いてくれることはなくなる。怒るにしても、もっと考えないと。あなたなら私みたいにはしなかったでしょう」
「う〜む。そうだね」
「それはともかく。あまりに感情的になるのは、困る。けれど、感情的になる自分を抑えているうちに、覇気というか、創造力や行動力の源になるパワーがなくなってくるのには、複雑な気分になる。Yさんは最近、趣味で小説を書き始めているから、そう感じるのかもしれない。まあ、これも歳をとったというか、社会人になって理性的になってきたというか、そんなことのおかげでしょうかね」
 別れた後の帰り道、途中で購入したホットドックはすっかり冷めていた。

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