といっても、動植物のことなどさっぱりわからない。
 それに、私は生来の鳥頭ときている。
 折角説明してくれても、右から左へ抜けてしまう。

 7時半起床。
 移動の疲れやら酒の疲れやらで、体が重い。
 どうすれば、体が軽くなるのやら。
 朝食のため食堂に行くと、他のメンバーは既に来ていて、食べている。9時集合でネイチャーウォッチングなので、手早くしないと。
 でも、ちゃんとした朝食は、慌てた気分で食べるには勿体無いものだ。
 そばの実粥は、酒を飲んで目覚めた後の体に、優しい食べ物だ。あんまり沢山はいらないけれど。
 ホテルの従業員も良く気を配ってくれるのが気持ち良い。最後にコーヒーを飲むと、満足した気分に。

 9時にホテルロビーで集合。
 キツツキの絵と「PICCIO」(ピッキオと読む。イタリア語でキツツキの意)の名前の入ったエンブレム入りの服を着たガイドが、案内役だ。
 双眼鏡や携帯用の鳥類図鑑を貸し出してもらい、早速ネイチャーウオッチング。
 と思ったら、ガイドの人は、ホテルの建物の屋根にとまっているカラスを見つけて説明し出した。ハシボソガラスだという(都会で見かけるのはハシブトガラス)。
 ネイチャーウォッチングはもう始まっているのだ。
 窓ガラスにフィルムが貼ってあって、外から見ると鏡のようになっている。このカラスは午前中の決まった時間に自分の姿を見て、威嚇するのが日課だとのこと。
「彼(?)は自分と闘ってるんだねー」
と、甲府在住のTさん。
 毎朝、「このくらいにしといたるわ」などとキリをつけているのだろうか?

 ホテル近くの森の中に入っていく。
 使われなくなったスケートリンクが池になっている。今、この池は蛙(ヤマアカガエル)にとって良い住処になっているのだとか。
 蛙の冬眠は地面の中というイメージがあるが、ここでは池の底で冬眠するという。冬は非常に冷え込むので、地面そのものが凍ってしまう。生活の知恵だなぁ。
 イノシシやリスの足跡を発見したり、ハンノキを見て喜んだり。
 鳥の声はたまに聞こえる事もあるのだが、姿が見えない。悲しい……。
 森の中の観察小屋に入って、やっと鳥をたくさん見る事ができた。餌台や巣箱を小屋の周囲に設けてあり、鳥が寄ってくるのを小屋から見るのだ。
 冬のためか、鳥の種類は少ない。シジュウカラとイカルを良く見かける。
 何故かイカルが大勢群れをなしていて、ちょっと怖かった。反面、そのためか、他の鳥になかなかお目にかかれない。
 一通り見た後、小屋から出る。小屋のある辺りから浅間山がきれいに間近に見える。いいなあ。
 小屋から観察路に降りるとき、アイゼンをガイドの人から借りる。個数は人数(私たちは15人いる)と同じ数、片足分ずつである。
 足がかりがあると安心だ。筑波山の時もあったら良かった。

 昼食を「村民食堂」で取った後、ホテルに戻り、「PICCIO」の人の説明を聴くことに。
 鳥の求愛行動、なわばり、子育て。鹿のハーレムの話、ハーレムの近くをうろついて主の隙をついて、自分の遺伝子を残そうとするオス鹿の話など。
 動物の世界は面白い。
 一連の動物の世界の話の後、PICCIOの事業内容なども聴く。調査研究の内容の中には、ホテル周辺の身近な生き物を調べて、生き物の個性をしっかり観察するものもあり、興味深い。
 一連の調査研究や動植物の保護活動が、地に足がついた感じで、好感が持てる。
 出版物の「鳥のおもしろ私生活」「虫のおもしろ私生活」(以上、主婦と生活社刊)も、ちょっと見た限りでは面白そうだ。

 消費するだけがリゾートではないんだなぁ。
 自然をしっかり味わい、ゆとりを味わってこそのリゾートだ。
 滞在時間が短かったのは残念だが、充実した時間を過ごせて満足である。
 年に一度は、こうした味わいを感じられる場所に行けるようになりたいな。

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