日帰り旅行でも

2003年5月3日
 いいもんですなー。

 今回は、逗子へ海を見に行く。
 余裕があれば、更に足を延ばすことになる。

 駅にて友人のI君と待ち合わせるが、彼は前日の疲れが残っていたらしく、少し遅れてやって来た。
 待っている間に本を買う用を思いついて、新星堂に買物に行く。建物の2FがクラシックのCDショップ、3・4Fが書店になっている。
 1Fの入り口のところで、靴を売っていた。B1Fがスポーツ用品のショップになっているのだ。
 自分の足は大きいので、サイズが合うと、つい見入ってしまう。色やデザインが気に入ったので、即購入。早速、履くことにした。履き心地も心なしか軽くて良い感じだ。
 しかし、このことが荷物を増やして、歩くのにとても邪魔になろうとは……。

 待ち合わせたI君は、謝る事頻りだった。
 謝ってくれれば良いんですよ、別に。
 今回は、買物もできたんだし。

 待ち合わせ後、品川に向かう。
 新逗子行き快速特急に乗るのに丁度良いタイミングで、品川に到着。しかも泉岳寺始発の列車なので、座席が空いている。ラッキー。
 品川を出た電車は、駅近くの急カーブをゆっくりと通りすぎると加速を増す。最高速になった頃には、非常に気合の入った走りになる。
 沿線は建物が密集しているので、もともと高速で走行しているのに、スピード感が増す。
 列車は、蒲田・川崎・横浜と停車して、そこからややゆっくりになる。
 住宅などの建物が密集する状態はまだ続き、丘の斜面にまで家が張りついている。
 緑の丘に住宅が張りついている状態を見てふと、台北郊外の景色を思い出す。故宮博物館は郊外にあるのだが(地下鉄の士林站から更にバスに乗って行く)、博物館の真ん前に、高層マンションが立地していたのだ。周囲は緑の丘なのに。
 金沢八景から逗子線に分岐するとまもなく、やっと緑の豊富な景色にお目にかかれる。トンネルをいくつかくぐる。
 神武寺駅では、面白いものを見つける。駅脇の線路横に標識があり、そこから東京寄りが京浜急行、逗子寄りが在日米軍との分岐表示があるのだ。そういえば、駅近くに米軍向けらしい団地が。
 神武寺駅を出発して少しすると、在日米軍用らしい野球場があり、ちょうどプレイしていた。
 池子の森はこの周辺のことを指すらしい。緑の豊かな眺めだ。一時期、問題になったのも分かるような気がする。
 「海は見えないのだなー」と思いつつ、終点新逗子到着。

 さて。ここからどうしようか。
 とりあえず、海を見ることで、I君との意見は一致しているので、適当に歩き出す。
 それにしても暑い(26℃だか27℃だかあったらしい)。上着も手に持っている靴も、荷物に感じる。
 空は晴れてきているが、青空なのにどことなく白っぽい。蒸し暑い。
 川沿いに歩いて、何となく海の匂いがする。歩き出して10分ほど経ったろうか。海に近付いたようだ。建物の間からは、空以外の何も見えない。
 海岸に到着。気候のせいもあって、行楽客が多い。ヨットなどが多く浮かぶ。
 ただ、海水浴をする気にはなれないらしく、水着姿の人はほとんど見かけなかった。まだ5月初めだしな。
 トンビが宙を舞っている。
 やっと海に来られた。ちょっと感慨にふける。3月頃から、海に行きたいと感じていたから。
 3月とかに来ればなお良かったかな。空は比較的きれいで、人も少ないだろうし。

 海を見て、素直にそのまま帰ろうとは思わないのが、私(我々)である。もう少し足を延ばそうという欲を掻く。

 コンビニで飲み物を調達して、近くのバス停で葉山行きのバスを待つ。バス停の名前は「六代御前まえ」という。
 葉山行きのバスは、海岸沿いの道を忠実に辿って行く。狭い道を行くので、たまにすれ違いが大変そうだ。時折、建物の間から海が見える。
 終点の葉山到着。すぐ目の前に、葉山御用邸がある。交差点の名前も「葉山御用邸前」である。
 緑に囲まれた邸なのだけれど、塀と緑のおかげで、中の様子を窺い知る事はできない。ご丁寧にも警察署も交差点前にあったりする。
 しかも、歩いて見て分かったのだけれど、邸周囲の要所に、「哨舎」とある小さな詰所がいくつかあり、皇宮警察官らしい人が詰めているのである。
 とはいえ、海岸には普通に行楽客が数多く居て、バーベキューなどをしていたりする。海にヨットなどが数多く浮いているのは、逗子と同じだ。
 ただ、陸側は緑が多く、海岸もギリギリまで建物が迫るという感じではないので、こちらの方が良い感じではある。
 ひとしきり海を見た後、バスで逗子に戻る。今度は山側の道を経由する。
 ちょっと美味しい食事のできそうな店が多少見えて、少し惜しい気分に。途中下車すれば良かったかも。

 金沢八景まで戻る。「金沢シーサイドライン」という乗り物があるので、どんなものか乗ろうということに。
 路線自体は海岸沿いの埋立地を縫うようにして走るというイメージだ。八景島シーパラダイス・横浜市大病院や高層マンションが立地し、海の上を走っているような感じだ。漁港も見える。
 途中の駅から、潮干狩りを楽しんだ人々が乗り込んで来たりするので、海の匂いで車内が満たされる。

 更に欲を掻いて、川崎まで戻って、川崎大師方面に向かう。以前から、川崎や鶴見の臨海部近辺を見てみたいと、多少思っていたからだ。
 京急大師線に乗る。
 その内、線路の左右が工場という光景になる。まるで電車が工場構内を走っているような風情だ。
 鈴木町の辺りで大きなタンクに、「アミノ酸」との表記が。I君によると、ここら辺は味の素の工場らしい。「○ミ○式」とか「ア○ノサプリ」とかいう清涼飲料水の原料なのか。
 川崎大師を通り過ぎて、終点の小島新田まで行ってしまう。好奇心には勝てず、酔狂なことである。お大師様は、後日ということで。ごめんなさい。
 駅周辺は、住宅が密集している。
 駅からまっすぐ進むと、JRの貨物線にぶつかる。
 線路の向こう側には町工場がある。町工場の片隅が塀ごしに見える。屋根下の狭いスペースに、ささやかな物干し場が。
 貨物線上の跨線橋から見ると、ちょうど貨物の入換作業をしていた。
 跨線橋上から通り掛かりの子供連れが見ている。入換中の貨物列車の最後尾に乗っている作業員が、跨線橋上の人たちに手を振る。いいなー。
 大きな船や貨物列車の群れや工場のある光景が、私自身、結構好きだったりする。船舶や貨物列車や工場のような大きいものが動いていたり、あったりすると子供のようにワクワクする。
 別な意味で、町工場やそれに隣接する住居も良い。モノを作り出したり、その傍らで生活したりする様子は、人間臭くて何となく他人事でない気がする。

 そんな私の様子を見ていたI君は、「JR鶴見線も乗りませんか」と声を掛けてくる。彼は結構、気を遣う人なのだ。
 それもいいかもしれない(オイオイ)。日も暮れてきているが、一度、海芝浦駅を見たかったので、ちょうど良いかもしれない。
 更にまた欲を掻くことにする。渡りに舟とばかりに、鶴見に向かう。
 鶴見線乗り場になっている鶴見駅ホームは古くて、木のベンチがあったりする。いい具合にさびれてアンティークな感じを醸し出している。
 電車が鶴見駅を出発する。
 平日なら沿線の工場従業員が結構乗ってくるのだろうけれど、休日である今日は少ない。
「土曜ダイヤなんてあるんだねー」
 I君の発見である。
 駅の時刻表が、3種類ある。
 週休二日制が普通になってしまった今では、電車などの時刻表は平日・休日の2種類しかないけれど、以前は、平日・土曜・休日の3通りが当たり前だった。工場の勤務シフトは、従来と変化が少ないのかもしれない。ちょっと懐かしい。
 分岐した線路のカーブ上にある浅野駅を出ると、海芝浦方面の支線に入る。
 新芝浦辺りで、工場構内を電車が走っている風情になる。分岐した線路が、そのまま工場内の舗装とレベルが同じになって、そのまま工場内に入っている。
 こちらは、普通の電車に乗っているのに、貨物列車に乗っているような錯覚を覚える。
 工場構内をゴトゴト走って少しすると、終着の海芝浦駅である。ホームと最近設置された小緑地の他は、東芝の工場敷地だ。
 ホーム側はすぐ海になっている。ホームのすぐ下、足元の方で水音がする。
 ホームから海を見ると、水面を挟んだずっと向こう側に石油タンクの群れや道路用吊り橋が見える。ベイブリッジだろうか。
 ホームには「Suica」の簡易入出場端末が設けられている。
 駅舎のような建物は、工場への入り口であり、警備員が詰めている。駅員はいない。
 建物内には券売機が設けられている。東芝の社内報パンフレットがラックにある。I君も私も、東芝関係者ではないが、持ち帰ることに。
 日はすっかり暮れてしまった。
 浅野まで出て、浜川崎・八丁畷廻りで、品川に戻る。

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