大いなる田舎

2004年2月28日
 いい意味で。
 私の地元も、こんなだったら良いんですが。

 今日は松山から宇和島へ行く。
 できれば大洲を見て行きたいが、宇和島が優先である。
 昨日と今朝、I君と話していて、伊予鉄郊外線の乗車と佐田岬を見に行くことを希望している様子に見受けられた。なるべく手早く、松山城を見て(それなりに時間はかけるが)、伊予鉄に乗車して、宇和島に急ごう。

 ホテルで朝食後、身支度をして道後温泉駅に急ぐ(私の心持として)。
 「早起きは三文の徳」とは良く言ったもので、駅ではちょうど「坊ちゃん列車」が出発準備をしているところだった。
 「坊ちゃん列車」は、開業当初の軽便鉄道列車(夏目漱石の『坊ちゃん』にも出てくる)を再現したものである。動力は蒸気ではなく、ディーゼルだったりとさすがに今の状況に合わせて変えている部分はあるものの、よくできている。
 夜間は走らず、道後温泉駅前に展示してあるのだが、これがちょうど軌道線の線路に入ろうとしている。
 早速、駅で切符を購入する。「坊ちゃん列車」乗車一回分200円と一日乗車券300円のセットで500円也。リーズナブルですな。
 切符を購入して待っていると、列車が後進して軌道線に入って、前進してくるところだった。機関車一両に「マッチ箱のような」客車二両の列車だ。内装は木材で、座る部分もクッションなどはない。昔の扮装をした乗務員が各車両に乗っていて、ガイドをしてくれる。
 汽笛とともに発車。ガタゴトとゆっくり走行する。路面電車より更に遅いのではないだろうか。
 車内で乗務員が、乗客に俳句カードを配る。松山には各所に俳句ポストがあり、自分がひねった句を投稿できる。この列車や路面電車の車内にもポストがある。記念になるので、一句考えてみることにする。
 列車はゆっくりと走り、松山城の案内を終えた頃に、大街道の電停に到着する。松山城を見に行く最寄である。降りた後、列車を撮影する。
 松山城のロープウェイ・リフト乗り場まで徒歩。気分がちょっとはやる。
 まずリフトに乗る。途中の桜はもう咲き出している。春だなぁ。私の地元では梅がまだ五分咲きになったかなっていないかだろうに。
 前を見ると、マドンナの衣装をまとった女性が、乗っている。茶髪である。雰囲気的にあと一歩で、惜しい。
 到着すると、そこにも明治の巡査の扮装をした男性がいたりする。さっきのマドンナもこの巡査も観光ガイドらしく、観光客相手に説明したり、記念撮影に入ったりしている。
 松山城はなかなか立派なものだ。天主を始め、いくつも櫓や門がちゃんと残っている。ただ、江戸時代のうちに落雷やそれによる火災のため、江戸時代中に再建したものが多いようだ。
 眺めも素晴らしい。市街地ではもっとも高いところからの眺めが楽しめる。海まで見える。あっちは三津だろうか。こっちは伊予鉄高島屋とその観覧車のようだ。
 城内の展示物も見る。I君が「どこのお城でも、鎧兜は付き物のようだねー」と言っていたが、同感だ。
 天主を降りて、途中にある茶店でお茶にする。抹茶にタルト・坊ちゃん団子付きで、天主を見る。いいもんですな。

 お城をロープウェイで降りる。乗客は私たち二人だけ。
 上りのロープウェイやリフトはお客が増えているようだ。何となく、お侍たちが登城している様を想像して、面白く感じる。私たちは、登城を早々に済ませてきたので、ちょっと気分が良い。

 郊外線に乗るため、大街道から松山市駅に向かう。伊予鉄高島屋を併設した立派な駅である。駅正面脇に「創立明治20年」のプレートが。一地方都市が、軽便とはいえ、早い時期に鉄道を建設した先見性は誇っても良いものだろう。
 とりあえず高浜まで行こうと思う。売店で愛媛新聞購入。
 電車はクリーム色にオレンジの帯、日差しは暖かく、市街地を抜けるとのどかな風景が広がり、気分もゆったりしてくる。
 高浜まで行く途中、梅津寺という駅ホームに、ハンカチが結わえてあるのを見つけた。以前放映していた、『東京ラブストーリー』というドラマにちなんで観光客がやっていくのだろうか。
 高浜では乗客のかなりの部分は、バス乗り継ぎで松山観光港に向かうようだが、私たちはのんびりと桟橋まで歩いてみたりする。
 のんびりとした気分を味わって、来た道を戻ることにする。

 JR松山駅に行き、特急「宇和海」に乗車。12時18分発に間に合う。
 13時38分に宇和島に着く。これなら宇和島城見物の後佐田岬に行けるか。
 昨日の琴平から丸亀の時のように、列車は、車体を傾けつつ高速で、単線の路線を走り抜く。気持ちの良い走りっぷりだ。車窓を味わっている内に、宇和島は間近である。
 宇和島到着。駅隣接のホテルに荷物を預け、レンタカーを調達に。
 しかし、土曜日のこととて、空きがないと断られる。
 2軒目で何とか借りられるが、返ってきたばかりなので、整備に時間がかかるとのこと。
 その間、宇和島城を見物しに行く。
 宇和島城は小高い山の上にある。天主は現存しているが、他の櫓などはほとんど残っていない。
 息が切れるような急な石段を登って行った先に、3層の天主に出会う。可愛い感じの天主だ。
 宇和島城は縄張り(設計)の基礎は藤堂高虎が手がけているので(他にも、今治・大洲なども手がけている)それなりの工夫が凝らされているのだが、天主自体は見せるためのものだという。
 天主の回りに桜が咲いていて、春らしさが漂っている。穏やかな宇和海も見える。天気のよさも相俟って、のどかな気分になる。
 天主を訪れる人は多くなく、ゆっくり見ることができる。
 来て良かったな。

 クルマで佐田岬に向かう。運転は私。命の保証はしないが(笑)。
 南予の道路事情の悪さは、なかなかである。一車線ずつなので、追い抜きができない。時折渋滞して、市街地を抜けるのに時間がかかる。かと言って、高速道路は伸びてきていないので、ショートカットもままならない。
 日のある内に、岬に到達したいが、どんどん暗くなる。焦る気持ちがつい先立ってしまう。岬に近づくにつれ、道も細くなる。
 岬近くの駐車場に着いたときには、日がほとんど暮れている。それでも無駄な抵抗を試みて、岬に向かって歩くが、真っ暗になってしまったので引き返した。
 結局、明るい内に到達できなかったが、佐田半島のパノラマは、I君を満足させたようだ。何よりだ。
 帰り道、雨が降り出す。天気もよく保ってくれたものだ。
 折角のクルマなので、暗い中ではあるが、宇和町の古い町並みを車中から見たり、吉田町に寄り道したりする。

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